RETISSAシリーズ(民生機器)の網膜投影技術をご体験いただいた方に、その感想を伺うインタビューシリーズ。今回は、大学でプログラミングの勉強をしている渡邊大貴さんに新製品「RETISSA SUPER CAPTURE」の試作品(旧称 LOG レーザオペラグラス)をお試しいただき、お話を伺いました。
―自己紹介をお願いします。
大学生です。去年からWebプログラミングの勉強をしています。プログラミングは目標に対しての手順を細かく整理していく作業が必要ですが、僕はそういうことが好きで得意なのだと思っています。今製作中のweb ツールは、日程調整を効率化させるものです。複数人で日程調整をするのにかける時間を少なくして他の事に時間を回せるような、主催者と参加者とが情報をやり取りするシステムを制作しています。
―眼の状態を聞かせてください。
右眼の視力はメガネやコンタクトレンズを使って0.1、左眼は網膜剥離を発症しているので文字の認識は出来ません。電気が点いているか点いていないが分かる程度の視力です。生まれつきの病気なので、物心ついた頃から低い視力の眼と付き合ってきました。コンタクトをするとぼやけ方は減るので、パソコンのモニターを自分から2、30cm 位の距離に近づけて見ています。
小学校5年生までは地域の普通学級で、障害がない子たちと一緒に勉強していました。小学校5年の1月からは盲学校に転校して、視覚に障害がある児童生徒と一緒に高校まで学習を続けてきました。普通学級に通っていた時は、他の子は自分よりもたくさんの情報を得ているな、と感じていました。
―見えづらさから、困ることはありますか?
僕は視野が狭いようで、特に後ろからくる自転車等の距離感がつかみにくいです。遠くにいると思っていた自転車が、気づいたらもう肩のすぐ横まで来ていて危ない思いをしたことがあります。
自分自身では生まれつきこの目なので、特に視力が低い事によって生活がしにくいという感覚はありませんが、他の人と行動するときに、他の人は目から情報を得てスタスタ行ってしまって、出遅れるということがあります。
でも、視力が悪い中で出てくる困りごとを自分で工夫して乗り越えるという作業を、僕は楽しいと思っています。
―どんな工夫がありますか?
例えば、盲学校では、教科書やプリントは、見やすい文字サイズに拡大されていたので、みんなが公平に情報を得られる環境が整っていたと思います。
また、パソコンのモニターは足がついているので、普通はキーボードより手前に置くことはできませんが、アームを使ってキーボードより近くの自分が見やすい位置に吊るして見ています。
晴眼の方にとって、弱視者の見えない状況は分かりにくいと思います。見え方は人によって違うし、変化もするので100%の理解を得るというのは難しいと思います。ですから僕たち弱視者が困っているというサインを出した時には、「どんなことに困ってるの?」と寄り添ってもらえたらと思います。一方、視覚障害がある僕も、何を困っているのかを人に伝えられるようにしていきたいと思っています。
―写真を撮ることはありますか
駅などで高いところに設置してある表示が見にくい時に、写真をとって手元で拡大することはありますが、写真そのものを楽しむために撮るっていう事はやった事はないです。
―RETISSA SUPER CAPTUREを使って、好きなものを撮影してみてください。
バスの窓からスカイツリーを見て撮影しました。こんなにまじまじと景色を見たことがなくて、言葉が見つからないというか、そんな感じがします。
撮影 渡邊大貴様
*このインタビューは2020年12月6日に「With My Eyes」プロジェクトの一環として行われました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA SUPER CAPTUREは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助、視力補正を意図するものではありません。
*RETISSA SUPER CAPTUREは2022年にRETISSA NEOVIEWERに改称されました。