RETISSAシリーズ(民生機器)の網膜投影技術をご体験いただいた方に、その感想を伺うインタビューシリーズ。今回は、パラアスリート陸上日本記録保持者で、2021年東京パラリンピック金メダルを目指す澤田優蘭様に新製品「RETISSA SUPER CAPTURE」の試作品(旧称 LOG レーザオペラグラス)をお試しいただき、お話を伺いました。
―自己紹介をお願いします。
澤田 優蘭(うらん)です。パラアスリートです。種目は陸上競技で、100 メートルと走り幅跳びが専門です。 現在は来年のパラリンピックで金メダルを取ることを目標にトレーニングしています。中学生の時に陸上競技を始めましたが、中学2年生の時に急激に視力が落ちて、いったん陸上競技をやめました。その後、きっかけに恵まれて再開しました。今私にとって陸上競技は、私が一番私らしくいられる存在だと思っています。
―眼の症状について教えてください。
現在の視力は、左右ともに0.01程度で、視野欠損があります。正面から上にかけて視野が欠けていて、その視野のない部分は本当に黒い闇というかそこの部分は何も見えない状態です。 ですから、主に外側と下のほうで見ていて、視野はとても狭いです。
―見えにくくなった経過をお話し下さいますか。
子供のころはただ「視力が少し悪い」という感覚でした。中学 2 年生の頃、急に物が見えなくなったり、突然物が現れたように見えるようになったりして、「あれ?なんか私、見えてない部分があるのかなぁ?」と気づきました。好きで始めた陸上競技でしたが、急に見えにくくなったことで走るのが怖くなりました。練習で使ったボールが見えなくてぶつかったり、段差を踏み外したりして怪我をするうちに、「体を動かすことが怖い、嫌だ」と思うようになりスポーツが嫌いになりました。中学校時代は、自分の障害を受け入れなかった時期で、単純に「見えにくいとスポーツは出来ない」と思い込んでいました。その後、高校生の時に網膜色素変性症と診断され、今も見えにくさは変化しながら進行しています。この先も、視野欠損は進行し今見えている部分も、少しずつ見えにくく、見えなくなっていくと言われていますし覚悟しています。
―どのようにして陸上競技を再開して、続けてこられたのですか。
私が障害を受け入れられたのは、高校生の時だと思います。初めは普通の高校に通っていましたが、ある人との出会いがあって初めて盲学校のことを知り、編入することにしました。そこでは、私と同世代の、私よりも見えていない人たちが、スポーツや裁縫をしていたり、パソコンを普通に使っていたりしていたことに衝撃を受けました。そして、私も出来るかもしれないと思いました。
その後、体育の先生に「もう一度陸上をやってみる?」と声をかけてもらって、久しぶりに走りました。その時に、「私はまだまだできる」と感じました。そして、ちょっとした工夫や周りの人のサポートがあれば見えていた時と同じくらいスポーツを楽しめる、ということに気がつきました。その頃から次第に、見えにくさをマイナスに捉えることよりも、出来る事を発見するようになりました。
―写真を撮ることはありますか?
写真を撮ることは好きで、SNSにも陸上競技の活動記録として、合宿先の街の様子や競技場の雰囲気を載せています。まず写真を撮って、それを拡大したり人に見てもらったりして確認するという撮り方です。以前はよく自分で撮っていましたが、最近はうまく撮れないために人に頼んで撮影してもらうことも多くなっています。
―新製品「RETISSA SUPER CAPTURE」の試作品をお試しいただきます。これは網膜投影技術を使ったカメラです。ファインダーをのぞくと撮影しようとする画面が網膜に投影されます。被写体を確認しながら撮影できるかもしれません。
いつもはスマホのカメラで撮影していて、こういうカメラを使うのは初めてです。すごいですね!見ながら自分でちゃんと確認しながら撮るっていう事は殆どないので、とても楽しみです。 私は、動物と自然が大好きで写真をよく見るのですが、これを使って自分で動物の写真を撮ってみたいと思います。
(公園に行って撮影してもらいました。)
見えますね。懐かしいです。子供の時は写真を撮るのが好きでした。
撮影 澤田優蘭様
*このインタビューは2020年12月6日に「With My Eyes」プロジェクトの一環として行われました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA SUPER CAPTUREは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助、視力補正を意図するものではありません。
*RETISSA SUPER CAPTUREは2022年にRETISSA NEOVIEWERに改称いたしました。