RETISSAシリーズ(民生機器)(以下RETISSAと略す)の網膜投影技術をご体験いただいた方に、その感想を伺うインタビューシリーズ。第3回はRETISSAの開発に携わったエンジニアに感想を聞きました。
―よろしくお願いします。経歴を聞かせてください。
ハードウェアのエンジニアです。QDレーザでRETISSAの開発に携わっていました。
右眼が円錐角膜です。それに気付いたのは大学の2年生、二十歳ぐらいのときです。それまでは乱視だと思っていたのですが、専門医にかかったところ円錐角膜と診断されました。高校1年生の頃からソフトコンタクトレンズを使用していたのですが、だんだん見えにくくなったので、診察を受けたものです。
その時は右眼に円錐角膜用のハードコンタクトレンズ、左眼に普通のハードコンタクトレンズを処方されました。でも当時はアメリカンフットボールをしていたので、プレイするときは、ソフトコンタクトを使っていました。ハードコンタクトで激しいスポーツは無理なので。(笑)
―現在はどのような補助具をお使いですか?
朝起きるとまず眼鏡をかけます。眼鏡をかけても右眼はあまり見えていないはずなので、おそらく左眼だけで見ています。外出するときはハードコンタクトレンズを着けます。右眼も円錐角膜専用のではなく、普通のものを使っています。
―不便なことはありますか?
毎日ハードコンタクトレンズを使っていますが、ときどき目が痛くなります。特に花粉症の時期は、コンタクトレンズを使用できる時間が短くなり、眼鏡を使用しますが、テレビやパソコンのモニターを見るのにも不自由することもあります。
―RETISSAを試していかがでしたか?
眼鏡では円錐角膜による乱視や視力の左右差を上手く矯正できないために、パソコンのモニターが見えにくかったのですが、RETISSAを掛けると、ハードコンタクトレンズの様に目が痛くならずに、細かい文字もくっきり見えて仕事もはかどり快適でした。
―今後期待することは何でしょう。
私はハードウェアを扱うのではんだ付けをすることがあるのですが、小さな部品が見えづらくて不便です。はんだ付け用の拡大鏡などは既にあるのですが、固定したRETISSAを覗き込むような形で使えれば、ずっとよく見えて便利だと思います。
それから、投影位置と同じ場所にカメラ※があると使い勝手がいいんじゃないかと思います。そこから発展してMR的(編注:Mixed Reality/現実世界とデジタルが融合するさま)なことが実現すると素晴らしいと感じますね。
将来コンタクトレンズを自分で装用できなくなった時、RETISSAならば、掛ければ見えるので安心だと思います。
私は、RETISSAは目の見えにくい人の助けになると思っています。そう思って開発してきましたし、自分もユーザ候補のひとりです。同じように円錐角膜で苦労されている方々には、ぜひ使ってもらいたいと思います。
―ありがとうございました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA Display IIは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助、視力補正を意図するものではありません。