今もあの時の感動がとまりません!

#27

民生器RETISSAのレーザ網膜投影技術をご体験いただいた方に、そのご感想を伺うインタビューシリーズ。今回は、日本アルビニズムネットワークのスタッフでアルビノ当事者の石井更幸さんに、RETISSA NEOVIEWR(レティッサネオビューア RNV)、RETISSA Display 2+CAM(RDⅡ+CAM)、RETISSA ON HAND(オンハンド)をお試しいただいて、お話を伺いました。

―自己紹介をお願いします。

 千葉県生まれです。アルビノ(眼皮膚白皮症)をより多くの方々に知っていただくために、小中学校、医療系の大学や専門学校、人権関連の団体や障害者団体、各自治体などで講演活動を行っています。日本各地でアルビノ当事者とその家族を対象とした交流会を主催しながら、個人的な依頼にも応えて活動を続けています。これまでに47都道府県をすべて巡りました。また、アルビノ・ドーナツの会、日本アルビニズムネットワークなどの団体にも所属し、協力活動を行っています。
 コロナ前は、全国を行脚していましたが、二回目のワクチン接種後に、厳しい副反応が出ました。徐々に回復していますが、まだ左足に少し麻痺が残っているため、自宅と仕事場と近隣へしか外出出来ない状況が続いています。QDレーザの製品のことは、約7年前から記事などで知り興味を持っていました。

―眼の状態について教えてください。

 アルビノによる「黄斑低形成」のため、視力が出にくい状態です。視力は右が0.03から0.04で、ほとんど右眼で物を見ています。眼科検査によると、左眼の視野の下方部の約50%が欠損しているそうですが、普段視野の欠損は気になっていません。私は色素が全くありません。眩しさに弱いです。眩しいときは左眼を閉じる方が楽です。

―どんな機器をお使いですか?

 ルーペ、単眼鏡、弱視眼鏡、拡大読書器を併用しています。スマートフォンの拡大や白黒反転機能も使っています。中学までは特別支援教室も無かったので、普通学級に見えないまま通っていました。
 眼のケアはしておらず、文字もあまり読めていませんでした。眩しさ対策として、ブラウン系で濃さの違う数種類遮光レンズのサングラスを使い分けています。過去に、オレンジ色系の遮光レンズを掛けていたときに、信号の赤色を見分けられずに横断歩道を渡ろうとして、命を落としそうになりました。今は、ブラウンのみ使用しています。様々な色を自分で試してみてオレンジ系の色で眩しさが抑えられて一番良かったのですが、まさかの信号機の色の見極めが出来ないとは驚きました!

―アルビニズムの会について

 約20年前に日本アルビニズムネットワークを立ち上げました。当初は会長を務めましたが、現在はメンバー全員がスタッフとして活動する体制をとっています。また、アルビノ・ドーナツの会との交流会は3ヶ月に一回で、交流会では補助具の紹介や日々悩み相談などを受けて運営側として参加しています。その他は個人的なご依頼などもありご自宅にお伺いするなどの活動を関西で毎月行っていました。ほかの参加者から「石井さんは、大阪にお住まいですか?」と聞かれ、「千葉です。」と応えて驚かれることも何度かありました。

―RETISSA NEOVIEWR(レティッサネオビューア RNV)、RETISSA Display 2+CAM(RDⅡ+CAM)、RETISSA ON HAND(オンハンド)を体験していただきました。ご感想を聞かせてください。

 屋内で試したときは、眩しさのために部屋を暗くしているので、どの機種も照明不足でした。文字は読めますが、白黒反転した方が読みやすかったです。また、ペンライトで文字部分を照らすと読みやすくなりました。オンハンドとRNVは、視野が広くて画像が安定していました。RDⅡ+CAMは眼振があるせいか、画像は見えていますが常に横から黒い影が画像に入ってくる感じがある。ハンズフリーなのが良いですが、ほかの2種に比べて視野が狭いと感じました。
 屋外でも使用してみました。感動的な見え具合でした。高校生の時単眼鏡とルーペを使って文字を読めたとき以来の見え方を体験出来ました。緑も鮮やかで綺麗に見え、新鮮な見え方だと感じました。

(写真1)「この地図のここに、こんな絵が描かれていることを、今日初めて知りました。」と石井様
石井様による体験レポート『QDレーザRETISSAシリーズ体験会in我が家』より

―インタビューの後、石井様からメールをいただきましたので、ご許可をいただいて、原文のままご紹介します。

「昨日はお忙しい中をこんな田舎の我が家まで足を運んでいただき素晴らしい体験をさせて下さり本当にありがとうございました。

 今もあの時の感動がとまりません!

 高校時代に盲学校へ入学し図書の先生に文字が小さく読めない事や今まで文章を読んだ事がなくちゃんと文章を読むことが出来ない事を伝えた時に、最初にボランティアの方がカセットテープに本を朗読した「テープ図書」を教えて下さり本を読む楽しさを知りました。
そして図書館には無い本を自分の目で読んでみたい事を伝えるとルーペと単眼鏡を教えていただき、初めて自分の目で文字を読む楽しさと見える喜びを知りました。
今回の見える感動は高校以来の見える喜びでした!
まさかこの歳になって新たな見える世界に出会えるなんて本当に奇跡だと思いました。

 
RETISSA ON HANDはまだ試作品と言う事であれから私なりに、もし可能なら改良してほしいと思った事を少し書かせていただきます。

 本体の色ですが黒い方が眩しさをおさえられると思いました。ボタンの表示を白文字のUDフォントで日本語表示にすれば子供からお年寄りまで誰もいなくても使えると思いました。
 表示する言葉もズームボタン(拡大ボタン)では「大や小」にしたり分かりやすいイラストや画面のフリーズは、「保存」など日本語表示ならお年寄りに優しいと思いました。

 私が一番気になるのが倍率です。昨日お話したように弱視者の中でも「本当は10倍が見やすいけど視野が狭くなって読みにくいから6倍や8倍で我慢して使う」と言う仲間が多くいました。もし可能なら10倍まで上げていただけたら弱視者の多くが喜ぶと思います。

 電源についてですが連続使用時間や「乾電池」なのか?「リチウムイオン充電池」なのか?昨日お聞きする事を忘れてしまいました。多くの方々が利用する公共施設や自宅でも給電しながら使えるようにしていただけたらと思いました。例えば個人で購入して使う時でも出先で電源が切れたとしても、モバイルバッテリーで給電しながら使えますので持ち運んで使えます。

 あとこれは持ち運んで使う事を考えますともう少しスリムにすると、女性などが持ち歩く小さなバックにも入ると思います。

 付属品についてですがファインダー部分とレンズ部分のキズ防止に、何か柔らかい布でかぶせる物が付属していたらバックに入れた時のキズ防止になると思います。
少し思いついた事を書かせていただきました。
素人がいろいろ言ってすみませんがご検討を宜しくお願い致します。
見える喜びと感動でワクワクしております。
コロナが落ち着いたら、また博物館や美術館や図書館に行き、新しく改良されたRETISSA ON HANDを思う存分に使いたいです。もちろん自宅でも地図や資料を楽しく拝見したいです。

 RETISSA ON HANDの色の再現力と視野の広さ扱いのしやすさは、必ず多くの方々に受け入れられると思います。私も微力ながら何かお手伝いさせていただけたらと思いました。
今後とも引き続き宜しくお願い致します。
見える喜びそして感動をありがとうございます。

―ありがとうございました。

※技術チームより
RETISSA ON HANDのバッテリーはリチウムイオン充電池です。充電しながらの使用は、今回お試しいただいた機器ではできませんが、今後は可能になるように改良していく予定です。

*石井様ご自身の体験レポートが公開されています。
“QDレーザRETISSAシリーズ体験会 in 我が家”    
*このインタビューは2022年10月31日に千葉県袖ケ浦市の石井様のお宅で行いました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA NEOVIEWR,RETISSA DisplayⅡ+CAM、RETISSA ON HANDは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助・視覚補正を意図するものではありません。
*網膜投影技術の詳しい仕組みはこちらをご参照ください。

ご協力いただいた方

石井更幸様(40代)

ご職業

化学系会社勤務

眼の状態

黄斑低形成・眼振

視力:
右眼(裸眼)0.03から0.04 
左眼 手動弁20センチ

視野:
左眼 緑内障のため下方部の約50%が欠損

ご体験いただいた製品

RETISSA NEOVIEWR
RETISSA Display 2+CAM(RDⅡ+CAM)
RETISSA ON HAND