民生器RETISSAシリーズのレーザ網膜投影技術をご体験いただいた方に、そのご感想を伺うインタビューシリーズ。今回は奈良県にお住いの仲川裕樹様に、RETISSA ON HAND(レティッサ オンハンド 以下ON HAND)とRETISSA DisplayⅡ+RD2CAM(レティッサ ディスプレイ ツー アールディツーカム 以下RD2+CAM)をお試しいただいて、ご感想を伺いました。
自己紹介をお願いします。また、眼の状態について教えて下さい。
仲川裕樹、30代です。福祉関係、介護の仕事をしています。先天性白内障のため小学1年生の時に手術を受けました。当時は、身体が成長途中だったため眼内レンズを固定できず、現在も無水晶体の状態です。弱視のため、近距離用と遠距離用の眼鏡を使い分けて視力を補っています。視力は右眼0.08、左眼0.1、矯正視力は両眼で0.7です。
普段は、はっきりと物が見えないまま過ごしているので、ピント調節が自動でできれば良いなと思っています。物を見ようとするときは、一生懸命見え方を調節して見なければならないので、時間がかかりますし、疲れます。眼振もあるため、長時間眼を使うと、めまいや吐き気等の症状が現れます。右眼は寄り目になっていて、左眼に比べて視力が弱く視野も狭いので、左眼に頼っています。距離感がうまく捉えられず、ドアノブをつかもうとして空を切るなどということがあります。視覚補助としては眼鏡の他に、スマートフォンとルーペを利用しています。眼鏡とスマートフォンとの組み合わせで見るとぼやけやすく、焦点が合いにくいと感じています。拡大読書器は使っていません。
機器をお試しいただいた、ご感想を聞かせてください。
<ON HAND>
力まずに見た方が見やすいですね。1メートル先にいる人の顔の表情を見ることができました。文字も読めます。白黒反転の機能は個人の見え方に合わせられるので、良いと思います。私は文字を見るなら白黒反転が見やすいです。スマートフォンもダークモードに切り替えて使用していますが、使うたびに切り替え操作をする必要があり不便です。RETISSAは、ボタン一つで(モード)を替えることが出来る点が良いと思います。スピード感が全然違います。
<RD2+CAM>
ON HANDより、見たいものに視線を合わせるのが難しい気がしましたが、鼻パッドを調整してもらったらかなり見やすくなりました。眼振のせいか、見える位置に画像がとどまっていないように見えます。時々ずれてしまいますが、見えています。手元のQRコードを見てみましたが、普段使っている眼鏡よりずっと鮮明に見えました。良いです。
RD2をHDMIケーブルでパソコンにつないで、カラーの動画を見ていただきました。
普段は左眼を主に使っていますが、先に右眼で試してみました。動画の中で、ウミガメの細かい部分と境目がくっきり見えました。いつもは、これほどはっきりと見えません。左眼でも、はっきり鮮明に見えました。スマホにつないで、カメラモードで自分自身を見ることもできました。一般のヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、メガネをかけてその上に、HMDを付けるので使いづらいですが、RETISSAは眼鏡を使う必要がないので、使いやすいです。
製品に期待できることはどんなことですか?
文字など、動かないものや、スポーツ観戦など離れたところを見るのに、適していると思います。奈良は、歴史博物館も多いですが、直接触ることはできませんので詳細がわかりません。古いマップも見えません。そういうところに置いたらよいと思います。困っていることは人によって違いますが、10年後に役に立つ場合もあるかもしれないので、どんどん使ってもらえるようにすることが必要だと思います。
私は図書館ではルーペを使っていますが、読書や漫画を読むときには、手持ちのON HANDが便利だと思います。生物の観察、小学生の時にやった生き物の観察などにも使えるのではないでしょうか。私は犬を飼っていますが、もっと見えれば状態を確認しやすいと思います。
悪い方の眼で見る訓練などにも活用できるかもしれません。いつも使えていない方の眼で物を見る訓練のために、よい方の眼をアイパッチで隠すのですが、嫌がる子供、続けられない人もいると思います。この装置で悪い方の眼で見る訓練ができると思います。
将来は眼鏡タイプの手が塞がらない特長を生かして、車の運転に使えたらいいと思います。また、アクティブなものを捉えやすくなったら、使える幅が広がってスポーツをするときにも使えるかもしれません。無理に焦点を合わせる必要がなく、むしろ力まずに見る方がよく見えるので、目が疲れにくいという点に大いに期待しています。目の負担を減らせる事に一番の意義を感じます。
小1で白内障手術して以来、工夫して見るようにしていますが、「見えない物には蓋」をしてきました。例えば野球選手にはなれないので、「蓋」をしているという具合です。それでも、日々見る事を大事にしています。年齢を重ねるにつれて大変になってきていますが、それでも焦点を合わせて物を見る努力をしています。それは、いつかIPS細胞などで、緑内障、白内障を克服出来る時代が来た時に対応したいと思うからです。その時に備えて、眼の負担を減らして、大切にしようと思っているのです。RETISSAを使って、眼の疲れ、眼の負担を減らすことで、眼の寿命を延ばしたいと思います。それが私の眼についての一番の課題です。
*このインタビューは2022年9月24日(土)に奈良県大和高田市で行いました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA RD2+CAM、RETISSA ON HANDは、医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助・視覚補正を意図するものではありません。
*網膜投影技術の詳しい仕組みはこちらをご参照下さい。
https://www.qdlaser.com/applications/eyewear/