民生器RETISSAのレーザ網膜投影技術をご体験いただいた方に、そのご感想を伺うインタビューシリーズ。今回は、音楽家の萩原彰哉様にRETTISA ON HANDとMEOCHECKをお試しいただいて、当社技術チームの森野がご感想を伺いました。
森野:自己紹介をお願いします。
萩原様:萩原彰哉です。打楽器奏者をしながら最近は指揮の仕事もさせて頂いております。(写真1)
様々なオーケストラに打楽器奏者として客演させて頂きながら、2019年よりAzzurro Chamber Orchestraという異色の編成のオーケストラを主宰して指揮をしております。この秋にも海老名と宇都宮で公演があります。
その他監督業も多く、小学生から後期高齢者まで幅広い年代に吹奏楽、合唱を教えています。
森野:眼の状態についてお話しください。
萩原様:近視のため、コンタクトレンズを使っています。裸眼の視力は両眼とも0.04程度ですので、ソフトコンタクトレンズで1.5程度に矯正しています。ひどい花粉症があるので、眼科や目薬とは縁が切れません。40歳の頃にコンタクトをつくるため成田市にある眼科を受診したところ、医師から「緑内障です。次回ちゃんと検査しましょう。」と言われました。自覚がなかったので、信じられませんでした。
しかしその後、僕の生徒の勧めで、その生徒が看護師をしている眼科に行き、視野が欠けていること、ずいぶん前から徐々に進行してきたであろうこと、進行具合は終盤戦に入っていることを知りました。その時に目薬をもらいましたが、差すとしみてとても痛い目薬でした。花粉症の時期は目がかゆくて、こすったりしているので、余計にしみます。花粉症の目薬も差す必要もあったのでだんだん差すのをやめてしまいました。後日先生にそのことを伝えたら、「しみるのが効いているということです。しみない目薬が良ければ出しますが、まつ毛が伸びます。」とのことでした。はじめから「痛いのが効いていることだ」とわかっていれば、差し続けられたかもしれません。
片目ずつ物を見ると左眼の右上の視野が欠けていることをはっきり自覚できます。左眼だけで正面にいる人の顔を見ると、その人の右眼周辺は見えません。両目で見ているときは右眼が補っているので、不自由を感じませんが、意識してみると黒いものが常に少し見えています。楽譜を見ているとき、ふと邪魔になったりします。視野が欠けているのが外側でなく、内側だったことはラッキーでした。生活に支障はありませんし、安全に運転もできています。
思い返してみると、30歳以降「見えにくいな」と感じることはありました。コンタクトレンズが汚れているのかなという程度の見えにくさだったので、気にしていませんでした。
楽譜がだんだん見づらくなってきていますが、それが、コンタクトの汚れなどの不具合なのか、老眼が始まったためなのか、緑内障のせいなのかを区別するのは難しいです。コンタクトの度は変わっていないので、近視が進んだということではないだろうと思っています。
そして最近、20年前20代のころにもコンタクトを作る眼科の診察で「緑内障気味」と言われたことを思い出しました。その時は「まだ心配しなくていい」と言われましたし、僕も緑内障はお年寄りの病気だと思っていたので、気にしませんでした。その後その眼科には10年間コンタクトを作りに通いましたが、緑内障と言われたのは最初の時だけです。そのころからだんだんに進んでいたのだなあと思っています。
今回は視野をチェックする装置を作っているので試してみてほしいと言われたので、協力することにしました。
森野:萩原さんのおっしゃる通り、片目の視野が狭くなってきても、他方の眼が見え方を補うので、気づかないことが多いと聞いています。東北大学の中澤徹先生は、「初期の視野狭窄を自覚するのは難しい。進行して自覚症状がでてから受診する患者さんの中には、手遅れになるケースが多いのがとても残念だ。早期に発見すれば、目薬を差すことで狭窄の進行を抑えることができるのに。」とおしゃっています。
森野:RETTISA ON HANDでレーザ網膜投影を試してください。
萩原様:右眼では見え方に変わりはありません。楽譜を見ると、レーザ網膜投影よりいつもの方がよく見えます。
左眼では、多少し明るくなっているように感じますが、視野が欠けている部分は同じよう
によく見えません。(写真2)
森野:コンタクトで1.5の視力をお持ちなので、その方がよく見えるはずです。レーザ網膜投影では視力は0.3から0.6程度になります。裸眼でオンハンドを使っていただくと、網膜投影の効果をより実感しやすくなると思います。
次に、MEOCHECKを試していただきます。病院にあるものと比べるととても小さい装置ですが、見え方をチェックすることができます。操作も簡単なので、専門家の立ち合いは必要なくて、一人で使っていただけます。値段も病院にある視野計と比べて安いので、職場や家庭に置いて、日常的に見え方をチェックすることができます。
萩原様:まず右眼で試してみました。操作は簡単でした。
森野:点数は96点でした。このチェックでは100点 にならないのがふつうです。網膜には盲点という視神経の集まっている部分があって、そこでは物は見えないからです。そういう意味では96点は満点と言えます。
萩原様:左眼では、点がよく見えないことがありました。
森野:点数は46点でした。
図1の左側のカラーの図が萩原さんの視野チェックの結果です。自覚なさっている通り左眼の上部右側鼻側に見えていない部分があるのかもしれません。
萩原:気になるので、緑内障と診断してくれた成田市の先生の所に行って視野検査を受けて、結果を撮影してきます。
―翌日萩原様は眼科を受診して、視野検査の結果を撮影して送ってくださいました。
図1のように、MEOCHECKの結果と眼科での視野検査計で、同様の結果が得られた模様です。
以下、後日談:
萩原様: 自分の緑内障については、今回チェックしてみて、また見えない部分が増えたなあと感じました。今後どんな風に進んでいくのか心配です。例えば緑内障が進んで見えない部分が広くなったら、免許を取り上げたりするのか心配しています。これを機会に眼科に行って緑内障の治療を再開したいと思います。
RETTISA ON HANDでは、残念ながら私の見え方は改善できませんでしたが、弱視の方の希望の製品だと思いますので、協力できてよかったと思います。
森野:運転免許について、現在日本の運転免許は視力を検査して「両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上」であれば視野の検査は行われません。ただ、国土交通省や警察庁も重大事故の原因の一つに視野障害があると認識しているので、今後視野検査の導入が検討される可能性はあると思います。
MEOCHECKは、眼科に行かなくても見え方をチェックできることが特長なので、視野狭窄の進行を知ることにもお使いいただける可能性があると思います。チェックしてみたらそれほど進んでいなかったとか、進んできたから眼科に相談しようなど、目安になります。
緑内障は治療すれば進行を遅らせられるので、目薬、頑張ってください。ありがとうございました。
*このインタビューは、2022年7月14日に行いました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETTISA ON HAND、MEOCHECKは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助・視覚補正を意図するものではありません。