民生器RETISSAのレーザ網膜投影技術をご体験いただいた方に、そのご感想を伺うインタビューシリーズ。今回は、以前にも登場して下さった渡邊大貴様です。
今回はボルダリングを楽しむときにRETISSA NEOVIEWER(注)(レティッサネオビューア RNV)を活用されていることについてお話しいただきました。
(注)RETISSA NEOVIEWER(レティッサネオビューア RNV)は通常デジタルカメラに取り付けて使用します。
―大学をご卒業後はどのようにお過ごしですか?
今年4月に筑波技術大学を卒業し、システムエンジニアになりました。今は会社でウェブアプリケーションの開発をするための研修を受けています。
週末は幕張にあるボルタリング施設で仲間と練習します。
渡邊大貴様(左)とQDレーザ社長菅原(右)
(写真1)ボルダリングのウォールと準備する渡邊さん。このウォールはショッピングモールの2フロア分の吹き抜けを利用して、モールに来た人はいつでも見ることができます。
※ボルダリングについて
2021年の東京オリンピックの種目としてすっかりお馴染みになったボルタリングは、壁(ウォール)につけられたホールドを使って、ルールに従って登る競技です。渡邊さんはボルタリングを始めて2年目ですが、上級者コースもすいすいと登っていきます。
ボルダリングでは、登る前にオブザベーションという名の下見をします。体力の消耗を抑えてスムーズに登るために、観察して得た情報を元に攻略し、自分が登っているところを想像してから登り始めることが有効です。渡辺さんたちボルダーにとっては、「オブザベーションがボルダリングの面白さでもある」そうです。
―ボルダリングの時にRNVを活用なさっているそうですね。
いつも練習しているウォール(写真1)や、ホールドの位置などをウェブサイトで紹介している施設を使うときは、ホールドの様子があらかじめ分かっていますが、初めて見るウォールでは、その場で攻略方法を考える必要があります。
(写真2)上級者コースもすいすいと登っていきます。
RETISSA NEOVIEWER(レティッサネオビューア RNV)は、そういうときに役に立ちます(写真3)。カメラでズームした画像を網膜投影すると、高いところにあるホールドの位置やつき方を見ることができますし、ホールドを拡大して見ると、ホールドの厚みや表面の質感がつるつるなのかざらざらなのかがわかります。また、先に上った人のチョーク(滑り止めの粉)の付き具合、靴によってこすれた跡なども確認できるので、攻略方法を考えるときの参考になります。オブザベーションでは、ホールドをよく見ることがとても重要です。
―渡邊さんの見え方について教えてください。
僕は未熟児網膜症のため、生まれたときから右眼は網膜剥離していて光覚、左眼の矯正視力は0.1程度です。左眼にはコンタクトレンズを着けていて、文字は顔を近づけて読んでいます。生まれつきの見え方なので生活に支障はありませんし、もっとよく見たい物も特にありませんが、晴眼の人達の方がより多くの情報を得ていると感じています。小学5年生の時から通った盲学校では、教材の文字が見やすいサイズに印刷されていたので、情報を得やすい環境が整っていると感じました。
筑波技術大学で専攻したコンピュータプログラミングは、目標に対しての手順を細かく整理することが必要ですが、僕はそういうことが好きで得意です。また、視力が悪い中で出てくる困りごとを自分で工夫して乗り越えるという作業も楽しいと感じています。
(写真3)RNVでウォールを見上げ、ホールドを確認します。
―RNVを使った時の感想を教えてください。
最初に使った時には、まず「まぶしい」と感じました。レーザ網膜投影の技術を理解していたので、「網膜に光が届いているということだ」と解釈しました。そして、見ているものの輪郭がはっきりしていることに気がついて、「視力がいいいというのはこういうことなのか」と思いました。
いつも使っている単眼鏡は、見たいものを拡大することで見やすくします。僕は「目がいいということは物が大きく見えるということなのだ」と考えていた時期がありました。母が「そうではない」と教えてくれたことを思い出しました。RNVを使って初めて、「目がいい」という見え方を体験しました。
もともと景色などを見ることなどには興味がなかったのですが、ボルタリングをするようになって初めて、「もっとよく見たい」と思うようになりました。ですからボルダリングの時にRNVを使っています。
―RNVの改良した方がいいと思う点はありますか?
撮った写真をその場でカメラからタブレット等に飛ばすことができれば、必要な部分をさらに拡大したり、仲間と攻略法を議論したりするときに便利に使えるので、通信できるSDカードに差し替えられるようになったらいいと思います。
*このインタビューはQDレーザ社長の菅原充が7月9日にグリーンアロークライミングパーク海浜幕張で行いました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA NEOVIEWERは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助・視覚補正を意図するものではありません。
*網膜投影技術の詳しい仕組みはこちらをご参照ください。